論文発表

[A01-2: Shigetoshi Aono]
“Structural basis for heme transfer reaction in heme uptake machinery from Corynebacteria”
N. Muraki, C. Kitatsuji, Y. Okamoto, T. Uchida, K. Ishimori, and S. Aono*
Chemical Communications, in press
doi: 10.1039/C9CC07369H
(ひとこと)ジフテリア菌に代表されるコリネバクテリアが、鉄イオン源として利用するヘムを取り込む際に機能しているヘム輸送タンパク質の立体構造を明らかにしました。

[A01-4: Tomonori Tamura]
“Development of a cell-based ligand-screening system for identifying Hsp90 inhibitors”
T. Ueda, T. Tamura*, and I. Hamachi*
Biochemistry, in press
doi: 10.1021/acs.biochem.9b00781
(ひとこと)熱ショックタンパク質90(Hsp90)はシャペロンとして古くからよく知られたタンパク質ですが、近年ではガンや神経疾患の治療に有望な創薬標的となっています。本論文では、生細胞内におけるHsp90-阻害剤相互作用を検出するための評価系を構築し、化合物ライブラリーから新規Hsp90リガンドを同定することに成功しました。

[A02-1: Yoshiaki Furukawa]
“Wild-type Cu/Zn-superoxide dismutase is misfolded in cerebrospinal fluid of sporadic amyotrophic lateral sclerosis”
E. Tokuda, Y. Takei, S. Ohara, N. Fujiwara, I. Hozumi, and Y. Furukawa*
Molecular Neurodegeneration, 2019, 14, 42
doi: 10.1186/s13024-019-0341-5
(ひとこと)変異型の銅・亜鉛スーパーオキシドディスムターゼ(SOD1)は神経変性疾患ALSの原因となりますが、変異のない野生型SOD1もALSの病態に関与しているのか論争が長年続いています。今回の研究で、家族歴のない孤発性ALS患者の脳脊髄液に、構造異常を呈した毒性の高い野生型SOD1を見いだすことができました。未だ不治の病であるALSの有望な治療ターゲットとして期待が寄せられます。
なお、プレスリリースが所属機関より出ていますので、こちらもどうぞ。

“Oxidative misfolding of Cu/Zn-superoxide dismutase triggered by non-canonical intramolecular disulfide formation”
I. Anzai, E. Tokuda, S. Handa, H. Misawa, S. Akiyama, and Y. Furukawa*
Free Radical Biology and Medicine, 2019, in press
doi: 10.1016/j.freeradbiomed.2019.12.017
(ひとこと)筋萎縮性側索硬化症(ALS)に見られる酸化ストレスの増大がSOD1タンパク質を酸化し、結合している銅・亜鉛イオンが解離することが引き金となってSOD1の構造が異常となることがわかりました。異常構造型のSOD1は毒性を発揮したことから、酸化ストレスの増大と生体内の金属イオン動態異常がALSの病理を理解する上で重要であることを示唆しています。
なお、プレスリリースが所属機関より出ていますので、こちらもどうぞ。

[A03-1: Taiho Kambe]
“Metalation and maturation of zinc ectoenzymes: A perspective”
T. Kambe
Biochemistry, in press
doi: 10.1021/acs.biochem.9b00924
(ひとこと)亜鉛トランスポーターが輸送した亜鉛によって、エクト型の亜鉛要求性酵素が活性化されるメカニズムをまとめた総説になります。エクト型の銅要求性酵素の活性化機構と対比させ、現時点での理解と今後の展望について議論しました。

“Zinc transporter 1 (ZNT1) expression on the cell surface is elaborately controlled by cellular zinc levels”
Y. Nishito and T. Kambe
The Journal of Biological Chemistry, in press
doi: 10.1074/jbc.RA119.010227
(ひとこと)動物細胞に多数存在する亜鉛輸送体の中で、唯一エクスポーターとして機能するZNT1の発現が、亜鉛レベルに応じてダイナミックに変化することをつきとめました。細胞内の亜鉛ホメオスタシスがこれまでの予想以上に厳密に制御されていることを示す結果と考えています。

”Zinc Signaling”
Edited by Toshiyuki Fukada and Kambe Taiho
Published from Springer Nature
(ひとこと)哺乳類の亜鉛トランスポーターZNTとZIPに関して、発見された経緯から、それぞれの構造上の特徴や輸送様式までを、生化学的観点からまとめた総説になります。ZNTとZIPの輸送金属の認識機構に関しても、最新の知見を含め幅広く議論しています。
In Chapter 3 “Zinc Transporter Proteins: A Review and a New View from Biochemistry”
Taiho Kambe, Eisuke Suzuki, and Taiki Komori, Pages 23 – 56

[A03-2: Koichiro Ishimori]
“Role of conserved arginine in the heme distal site of HutZ from Vibrio cholerae in the heme degradation reaction”
T. Uchida*, N. Dojun, K. Ota, Y. Sekine, Y. Nakamura, S. Umetsu, and K. Ishimori
Archives of Biochemistry and Biophysics, 2019, 677, 108165
doi: 10.1016/j.abb.2019.108165
(ひとこと)コレラ菌のヘム分解酵素HutZがArg92とヘムに配位した水分子との相互作用を介して、活性を調節する機構を明らかにしました。

“A single mutation converts Alr5027 from cyanobacteria Nostoc sp. PCC 7120 to a heme-binding protein with heme-degrading ability”
N. Dojun, K. Muranishi, K. Ishimori, and T. Uchida*
Journal of Inorganic Biochemistry, 2020, 203, 110916
doi: 10.1016/j.jinorgbio.2019.110916
(ひとこと)シアノバクテリアの機能不明なタンパク質であるAlr5027を1残基置換するだけで、ヘム分解活性を付与することに成功しました。

[A03-4: Michio Suzuki]
“A unique methionine-rich protein – aragonite crystal complex: structure and mechanical functions of the Pinctada fucata bivalve hinge ligament”
M. Suzuki*, K. Kubota, R. Nishimura, L. Negishi, K. Komatsu, H. Kagi, K. Rehav, S. Cohen, and S. Weiner
Acta Biomaterialia, in press
doi: 10.1016/j.actbio.2019.10.008
(ひとこと)イスラエルのワイツマン科学研究所との共同研究で、二枚貝であるアコヤガイの蝶番部に存在する炭酸カルシウムナノファイバーの性状と機械的性質を解析し、その形成にMMMKPDという繰り返し配列を30回程度有する、これまでに報告の無い新規のメチオニンリッチタンパク質が関与することを明らかにしました。
なお、プレスリリースが所属機関より出ていますので、こちらもどうぞ。

“Trivalent iron is responsible for the yellow color development in the nacre of akoya pearl oyster shells”
M. Kakinuma, C. Kasugai, M. Koide, K. Mitani, K. Yasumoto, M. Suzuki, S. Kinoshita, F. Hattori, K. Maeyama, M. Awaji, K. Nagai, and S. Watabe
Marine Biotechnology, in press
doi:
(ひとこと)アコヤガイ真珠は美しい干渉色を呈し、干渉色以外にも様々な色味があることが分かっていますが、黄色が強い系統はゴールドパールと呼ばれ近年人気があります。その黄色が貝殻の炭酸カルシウム内部に微量に含まれる3価の鉄由来であることを初めて明らかにしました。

“Functional characterisation of two ferric-ion coordination modes of TtFbpA, the periplasmic subunit of an ABC-type iron transporter from Thermus thermophilus HB8.”
P. Lu, Y. Moriwaki, M. Zhang, Y. Katayama, Y. Lu, K. Okamoto, T. Terada, K. Shimizu, M. Wang, T. Kamiya, T. Fujiwara, T. Asakura, M. Suzuki, E. Yoshimura, and K. Nagata.
Metallomics, in press
doi: 10.1039/C9MT00245F
(ひとこと)高度好熱菌(Thermus thermophilus)の鉄輸送に関与するABCトランスポーターがpHによって配位状態が変化することを、実験と分子動力学的解析から明らかにしました。

[B01-2: Yutaka Ito]
“In-cell NMR Spectroscopy: From Molecular Sciences to Cell Biology”
Edited by Yutaka Ito, Volker Dötsch, Masahiro Shirakawa
Published from Royal Society of Chemistry
(ひとこと)In-cell NMRについて総合的に解説した初めての本です。世界中の主要なin-cell NMR研究グループが結集し、最新手法から生物学的に重要な応用例まで幅広く紹介しています。私たちも第5章を担当しています。
In Chapter 5 “Protein Structure Determination in Living Cells from NOE-derived Distance Restraints”
Teppei Ikeya, Peter Güntert and Yutaka Ito, Pages 63 – 89