A02班:生命金属動態の「破綻」

A02班:生命金属動態の「破綻」
生命金属が関与する難治性疾患の発症機序
古川(班長)・津本・保住


ホーキング博士が亡くなったことは、みなさんの記憶にも新しいことと思いますが、彼を長年苦しめてきたのが、筋萎縮性側索硬化症(ALS)と呼ばれる神経変性疾患です。ALSに対する有効な治療法はまだありませんが、ALSやアルツハイマー病、パーキンソン病といったさまざまな神経変性疾患の脳や脊髄において、銅や亜鉛などの生命金属が異常に蓄積していることがわかってきました。つまり、生命金属動態を維持するシステムが「破綻」することで病気が発症すると推察されますが、その詳細な機序は明らかではありません。

A02班では、ヒト疾患における生命金属動態の異常化を明らかにします。特に、神経変性疾患であるALSについて、モデルマウスや患者由来のiPS細胞を用いることで、生命金属の組織・細胞内分布を解析し、その動態異常の特徴を見出します。また、ALSの原因タンパク質で、銅と亜鉛を結合するSOD1について、金属結合の異常化がSOD1の構造変化や細胞毒性の発揮につながるメカニズムを明らかにします。さらには、鉄が病原性細菌の感染に必要となるメカニズムについても研究を進め、生命金属動態の破綻機序を明らかにすることで、これらの疾患に対する新たな治療法を提案できると考えています。

A02-1 生命金属動態を制御するシャペロン分子ネットワークの解明
研究代表者 古川 良明(慶應義塾大学理工学部)
A02-2 生命金属動態の理解と制御のための分子認識素子の開発
研究代表者 津本 浩平(東京大学大学院工学系研究科)
A02-3 生命金属動態に着目した幹細胞分化・生育過程の制御と神経変性疾患
研究代表者 保住 功(岐阜薬科大学薬学部)