A01:「精子受精能の鍵を握る亜鉛ダイナミクス」
河合 喬文(大阪大学大学院 医学研究科)
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亜鉛は生体内に微量しか存在しないものの、生命機能の維持に必須の金属であることで知られています。私が関心を持っている「イオンチャネル」も例外ではなく、数多くのイオンチャネルで亜鉛が細胞内外から作用し、重要な生理作用を持つと考えられてきました。我々はこれまでに哺乳類において高い亜鉛感受性を持つ「H+チャネル」に着目した研究を行い、その亜鉛感受性が動物種ごとに異なること、そしてそれに対応するように血清の亜鉛濃度も動物種ごとに違うことを明らかにしました(Adisorn et al., 2017)。このことは生体における亜鉛シグナルの重要性と進化的意義を見出すうえでも重要な知見と考えています。 本プロジェクトではより生体レベルに即した研究をしたいと思っています。とりわけ亜鉛は生体内でも精子に多く蓄積しており、受精に重要な役割を果たすと考えられています。しかし、実際にはその生理動態やその作用機序については、殆ど明らかになっていません。本研究では、我々の得意としている生理学的な計測やイメージング技術を積極的に用いることで、精子における亜鉛の生理動態やその作用メカニズムについて明らかにしていきたいと考えています。

【関連する代表的論文】
Kawai T, Miyata H, Nakanishi H, Sakata S, Morioka S, Sasaki J, Watanabe M, Sakimura K, Fujimoto T, Sasaki T, Ikawa M, Okamura Y.
“Polarized PtdIns(4,5)P2 distribution mediated by a voltage-sensing phosphatase (VSP) regulates sperm motility.”
Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 2019, 116(51), 26020-26028
doi: 10.1073/pnas.1916867116.
Kawai T, Okochi Y, Ozaki T, Imura Y, Koizumi S, Yamazaki M, Abe M, Sakimura K, Yamashita T, Okamura Y
“Unconventional role of voltage-gated proton channels (VSOP/Hv1) in regulation of microglial ROS production.”
J. Neurochem. 2017, 142(5), 686-699
doi: 10.1111/jnc.14106.
Ratanayotha A, Kawai T*, Higashijima S, Okamura Y
“Molecular and functional characterization of the voltage-gated proton channel in zebrafish neutrophils”
Physiol. Reports. 2017, 5(15), e133345
doi: 10.14814/phy2.13345.
