[A03-1: Taiho Kambe]
“Detailed analyses of the crucial functions of Zn transporter proteins in alkaline phosphatase activation”
Suzuki E, Ogawa N, Takeda T, Nishito Y, Tanaka Y, Fujiwara T, Matsunaga M, Ueda S, Kubo N, Tsuji T, Fukunaka A, Yamazaki T, Taylor KM, Ogra Y, and Kambe T
J. Biol. Chem., 2020, 295, 5669-5684
doi: 10.1074/jbc.RA120.012610
本研究は、小椋康光(B01-1 研究代表者)との領域内共同研究の成果です。
(ひとこと)早期分泌経路に局在するZNT5-ZNT6ヘテロダイマーとZNT7ホモダイマーは、ALPなどのエクト型亜鉛要求性酵素の活性化に重要な役割を果たす。本論文では、両ダイマーを欠損させた細胞では、実際にALPが亜鉛メタレーションされないことを示し、また、早期分泌経路に局在するZIP タンパク質はALPの活性化に直接関与しないことを明らかにした。さらに、ZNT6は、ZNT5が存在しないとゴルジ体(早期分泌経路)に局在することができないことを示し、ALPの活性化機構は後生動物間で高度に保存されていることなどを明らかにした。
“Zinc transporters and their functional integration in mammalian cells”
Kambe T, Taylor KM, and Fu D
J. Biol. Chem., 2021, 296, in press
doi: 10.1016/j.jbc.2021.100320
(ひとこと) 亜鉛トランスポーターZNTのバクテリアホモログYiiPの構造を世界で初めて明らかにしたDax Fuと、ZIPトランスポーターのLIV-1サブファミリーの名付け親であるKathy Taylorとの3人で総説を執筆しました。ZNTとZIPの亜鉛輸送のメカニズムや亜鉛依存的な発現制御、タンパク質間相互作用、ZNTとZIPによる亜鉛を介した分泌経路の機能維持や細胞内シグナル制御など、分子レベル・細胞レベルでの知見にフォーカスした内容になっています。
[A03-2: Koichiro Ishimori]
“Mechanistic insights into heme-mediated transcriptional regulation via a bacterial manganese-binding iron regulator, iron response regulator (Irr)”
Nam D, Matsumoto Y, Uchida T, O’Brian MR, Ishimori K
J. Biol. Chem., 2020, in press
doi: 10.1074/jbc.RA119.011855
(ひとこと)窒素固定菌(Bradyrhizobium japonicum)のヘム生合成における抑制的転写因子Iron Response Regulator(Irr)は、細胞内で利用できる鉄量が十分であると、ヘムの結合により酸化的修飾が誘起され、その結果、Irrそのものが分解されることで標的DNA配列であるIron Control Element(ICE)から解離し、ヘム生合成が進行すると考えられていた。しかし、今回の論文では、IrrのICEへの結合はMn2+の結合が必須であり、ヘムの結合によりMn2+が解離することによって、Irrは酸化修飾を受けることなくICEへの結合能を失うことが明らかとなった。これらの結果は、Irrにおけるヘムに依存した新たな転写制御機構を提案するとともに、細胞内での生命金属間の相互作用も示唆している。
[A03-3: Hitomi Fujishiro]
“Emerging importance of manganese and arsenic as modifiers of cadmium accumulation”
Fujishiro H
in “Essential and Toxic Trace Elements and Vitamins in Human Health”
Eds. by Prasad, A.S. and Brewer, G.J., Elsevier, pp. 171-179, 2020
doi: 10.1016/B978-0-12-805378-2.00013-9
(ひとこと)イタイイタイ病の原因物質として知られるカドミウム(Cd)の毒性発現機構およびその輸送機構は未解明の部分が多かった。以前は、Cd結合タンパク質であるメタロチオネインがCdと哺乳類の他の元素との相互作用の重要な因子として注目され、多くの研究が行われてきた。しかし、近年、金属輸送システムの分子メカニズムの解明により、Cdの蓄積と毒性の修飾因子としてマンガン(Mn)が重要である。Cdの輸送体はMnの輸送体と共通であり、イネにおいてもCdとMnは共通の輸送体で輸送される。日本人のCdの主な摂取源である米においてもCdはMn輸送体で輸送されている。米中Cd濃度を下げるために灌漑を行うことが有効だが、その結果として米中ヒ素濃度が高くなってしまうという問題も抱えており、植物における金属輸送についても注目されている。著者らが行ったCd輸送体の発見までの経緯や、腎臓や消化管におけるCd輸送機構について新しい知見についてもまとめた。
[A03-4: Michio Suzuki]
“Post-column detection of cadmium chelators by high-performance liquid chromatography using 5,10,15,20-tetraphenyl-21H,23H-porphinetetrasulfonic acid”
Chia-Shang Chena, Shinya Ogawa, Yuki Imura, Michio Suzuki, Etsuro Yoshimura
Journal of Chromatography B, 2020, 1141, 122025
doi: 10.1016/j.jchromb.2020.122025
(ひとこと)ポストカラム法でカドミウムの高感度検出法の開発を行いました。生体成分に含まれるカドミウム結合因子を同定するために活用されると期待されます。
“Structural and functional analyses of organic molecules regulating biomineralization”
Michio Suzuki
Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry, 2020, 89, 1529-1540
doi: 10.1080/09168451.2020.1762068
(ひとこと)バイオミネラリゼーションの形成に関与する有機分子の構造と機能に関するレビュー論文です。アコヤガイのバイオミネラルタンパク質と微生物の金属沈着に関する成果で農芸化学奨励賞を受賞したことによる受賞論文になります
“Identification of amorphous CaCO3 in aqueous solution using XANES analysis”
Haruka Iwahashi, Ayaka Araki, Chiya Numako, Akiko Hokura, Michio Suzuki
Chemistry Letters, 2020, 49, 982-985
doi: 10.1246/cl.200328
(ひとこと)不定形の炭酸カルシウムをCa K-edgeを用いたXAFSスペクトルにより判別可能なことを示した論文です。バイオミネラリゼーションの形成過程で生じる不定形炭酸カルシウムの解析に利用できることが期待されます。
“Synthesis of metal nanoparticles by microorganisms”
Yugo Kato, Michio Suzuki
Crystals, 2020, 10, 589
doi: 10.3390/cryst10070589
(ひとこと)微生物による金属沈着に関する研究のレビュー論文になります。2019年に開催された15th International Symposium on Biomineralizationの特集号に招待記事として掲載されました。
“Characterization of the chalky layer-derived EGF-like domain-containing protein (CgELC) in the pacific oyster, Crassostrea gigas”
Shihori Iwamoto, Keisuke Shimizu, Lumi Negishi, Nobuo Suzuki, Koji Nagata, Michio Suzuki
Journal of Structural Biology, 2020, 212, 107594
doi: 10.1016/j.jsb.2020.107594
(ひとこと)牡蠣のチョーク層は特殊な極薄のカードハウス構造を持つ炭酸カルシウムのカルサイト結晶から構成されます。このチョーク層に含まれるEGF-likeドメインを有する新規タンパク質(CgELC)の構造を明らかにし、カルサイト結晶の凝集と形態の制御に関与することを明らかにしました。
“Identification of methionine-rich insoluble proteins in the shell of the pearl oyster, Pinctada fucata”
Hiroyuki Kintsu, Ryo Nishimura, Lumi Negishi, Isao Kuriyama, Yasushi Tsuchihashi, Lingxiao Zhu, Koji Nagata, Michio Suzuki
Scientific Reports, 2020, 10, 18335
doi: 10.1038/s41598-020-75444-4
(ひとこと)アコヤガイ貝殻の石灰化の基盤となる有機基質には、メチオニンに富む領域と酸性アミノ酸が多いドメインを持つタンパク質が共通しているという報告になります。このような配列を持つタンパク質がpHが8付近で凝集し、カルシウムイオンと結合することで石灰化に関与することを示しました。
“Metal accumulation using a bacterium (K-142) identified from environmental microorganisms by the screening of Au nanoparticles synthesis”
Yiting Li, Michio Suzuki
Materials, 2020, 13, 4922
doi: 10.3390/ma13214922
(ひとこと)重金属の多い環境から金属を濃集する細菌(K-142)を単離し、K-142が金、銀、銅、カドミウム、鉛、アルミニウムを回収する効率が高いことを示しました。また、この細菌は回収した金属をナノ粒子として生成することも判明しました。このようなバイオレメディエーション作用が、都市鉱山などからの金属回収に利用されることが期待されます。
“Evolution of biomineralization genes in the prismatic layer of the pen shell Atrina pectinate”
Keisuke Shimizu, Hiroyuki Kintsu, Masahiko Awaji, Toshie Matumoto, Michio Suzuki
Journal of Molecular Evolution, 2020, 88, 742-758
doi: 10.1007/s00239-020-09977-7
(ひとこと)タイラギは貝殻と貝柱が大きく有用な食用貝類です。貝殻の成長が早い要因として、貝殻外層の稜柱層のカルサイト結晶の伸長が速いためであると考えられます。 他の貝類と比較してタイラギ貝殻の稜柱層の形成遺伝子がどのように異なるのか、進化的側面から解析を行いました。
“Purification, Crystallization and X-ray analysis of Pf-SCP (Sarcoplasmic Ca-binding Protein), related to storage and transport of calcium in mantle of Pinctada fucata”
Lingxiao Zhu, Liying Wang, Akihiro Matsuura, Mimin Zhang, Peng Lu, Kurin Iimura, Koji Nagata, Michio Suzuki
Protein Expression Purification, 2021, 178, 105781
doi: 10.1016/j.pep.2020.105781
(ひとこと)アコヤガイの外套膜でカルシウム源を貝殻に輸送していると考えてられているPf-SCPの外套膜での発現解析と組換え体作製に関する論文です。バイオミネラリゼーション反応において、カルシウム源がどのように供給されているのか不明な点が多く、その解明に寄与する研究になると期待されます。
