[B01-3: Satoko Akashi]
“Single-Cell Native Mass Spectrometry of Human Erythrocytes”
Sakamoto, W., Azegami, N., Konuma, T., Akashi, S.
Anal. Chem., in press
doi: 10.1021/acs.analchem.1c00588
(ひとこと) たった一つの赤血球から、ヘモグロビンを解離させずに高い再現性でネイティブ質量分析で観測することに成功しました。世界で初めての“一細胞ネイティブ質量分析”です。一つ一つの細胞ごとのタンパク質の関わる相互作用を理解する等、様々な応用研究への発展が期待できるものです。なお、プレスリリースが所属機関より出ていますので、こちらもどうぞ。
[B01公募: Yasuo Uchida]
“Identification and Validation of Combination Plasma Biomarker of Afamin, Fibronectin and Sex Hormone-Binding Globulin to Predict Pre-eclampsia”
Uchida Y, Higuchi T, Shirota M, Kagami S, Saigusa D, Koshiba S, Yasuda J, Tamiya G, Kuriyama S, Kinoshita K, Yaegashi N, Yamamoto M, Terasaki T, Sugawara J
Biol Pharm Bull, 2021, 44(6), 804-815
doi: 10.1248/bpb.b20-01043
(ひとこと) 妊娠高血圧は、年間の妊婦数100万人のうち、5万人もの妊婦が罹患する疾患で、母体と胎児への悪影響から、早期診断法と治療法の確立が求められています。本論文では、妊娠高血圧のひとつである妊娠高血圧腎症を早期に診断するための血漿バイオマーカーを同定し、数百人の被験者を対象にその有効性を検証しました。今後の実用化が期待されます。本論文は、日本薬学会Biol Pharm Bull誌の表紙イラストに選ばれています。
“Human Blood-Arachnoid Barrier Atlas of Transporters, Receptors, Enzymes, Tight Junction and Marker Proteins: Comparison with Dog and Pig in Absolute Abundance”
Yasuo Uchida, Hina Takeuchi, Ryohei Goto, Clemens Braun, Holger Fuchs, Naoki Ishiguro, Masaki Takao, Mitsutoshi Tano, and Tetsuya Terasaki
J Neurochem, 2021, accepted for publication
(ひとこと) ヒトの血液脳関門の輸送担体の絶対発現量アトラスの成果に続き、中枢組織の外周を覆う「血液クモ膜関門」について、同じくヒトでの絶対発現量アトラスを完成させました。ヒトでの中枢組織内の金属動態を理解するための一助となることが期待されます。
“Quantitative investigation of molecular mechanisms responsible for blood-brain barrier disruption and cell infiltration into brain in mouse model of multiple sclerosis by SWATH analysis: Identification of Annexin A2 signaling”
Kenta Tezuka, Masayoshi Suzuki, Risa Sato, Shohei Kawarada, Tetsuya Terasaki and Yasuo Uchida
J Neurochem, 2021, accepted for publication
(ひとこと) 血液脳関門を標的とした中枢疾患治療の成果です。中枢関門は、中枢組織内を支援しているため、その破綻は中枢内の異常につながります。これまで、血液脳関門を標的とする中枢疾患治療は行われていませんでした。本論文では、中枢疾患創薬の新たな領域の開拓につながることが期待されます。
“Blood-arachnoid barrier as a dynamic physiological and pharmacological interface between cerebrospinal fluid and blood”
Y Uchida, R Goto, T Usui, M Tachikawa and T Terasaki
Springer, 2021, accepted for publication
(ひとこと) 中枢と末梢の間の物質交換は、血液脳関門を介するもの、と理解されてきました。近年の内田らの研究によって、中枢組織の外周を覆う「血液クモ膜関門」に多様な輸送担体が高発現し、中枢と末梢の間の物質交換に重要な役割を果たしていることが解明されました。本book chapterでは、これらの研究成果からわかってきた血液クモ膜関門の生理的役割を詳細にまとめています。
“Quantitative proteomics-based blood-brain barrier study”
Yasuo Uchida
Biol Pharm Bull, 2021, 44(4), 465-473
doi: 10.1248/bpb.b21-00001
(ひとこと) 定量プロテオミクスを用いた血液脳関門研究についての総説です。プロテオミクスの技術革新によって、中枢関門研究をin vitroやげっ歯類のレベルからヒトレベルへと大きく飛躍しました。関連する領域が広いため、今後さらなる研究の発展が期待される領域です。
“An Atlas of the Quantitative Protein Expression of Anti-Epileptic-Drug Transporters, Metabolizing Enzymes and Tight Junctions at the Blood-Brain Barrier in Epileptic Patients”
Risa Sato, Kotaro Ohmori, Mina Umetsu, Masaki Takao, Mitsutoshi Tano, Gerald Grant, Brenda Porter, Anthony Bet, Tetsuya Terasaki and Yasuo Uchida
Pharmaceutics, 2021, accepted for publication
(ひとこと) てんかん患者の血液脳関門における輸送担体群・酵素・密着結合分子の発現量を一斉に測定し、血液脳関門の多様な分子機構がてんかん病態に伴ってダイナミックに変動していることを明らかにしました。てんかん患者の検体を用いたはじめての成果です。てんかん患者での中枢組織内の金属動態を理解するための一助となることが期待されます。
“Regional differences in the absolute abundance of transporters, receptors and tight junction molecules at the blood-arachnoid barrier and blood-spinal cord barrier among cervical, thoracic and lumbar spines in dogs”
Hina Takeuchi, Masayoshi Suzuki, Ryohei Goto, Kenta Tezuka, Holger Fuchs, Naoki Ishiguro, Tetsuya Terasaki, Clemens Braun, and Yasuo Uchida
Pharm Res, 2021, accepted for publication
(ひとこと) 脳脊髄液内の物質濃度には、腰椎と大槽(首付近)の間では大きく異なることが知られています。しかし、なぜ異なるかはわかっていませんでした。本研究では、物質濃度を制御する血液脊髄関門(脊髄実質の血管)と脊髄の脳脊髄液の外側を覆う血液クモ膜関門について、頚髄(大槽付近)、胸髄および腰髄の部位に分けて、輸送担体群の絶対発現量を網羅的に明らかにしました。本成果は、脊髄の上部、中部、下部の間での物質濃度の違いを理解するうえで有用な情報となることが期待されます。
[B01公募: Tasuku Hirayama]
“Molecular Imaging of Labile Heme in Living Cells Using a Small Molecule Fluorescent Probe”
Kawai K, Hirayama T, Imai H, Murakami T, Inden M, Hozumi I, Nagasawa H
J. Am. Chem. Soc, 2022, 144, 3793-3803
doi: 10.1021/jacs.1c08485
本研究は、保住 功(A02-3 研究代表者)との領域内共同研究の成果です。
(ひとこと)ヘムはほぼ全ての生物が保有する鉄含有分子です。酸素運搬やエネルギー産生を担っている非常に重要な分子ですが、細胞内でのヘム自体の動態については謎な部分が多いです。我々は、細胞の中でヘムと反応して光る分子、ヘム蛍光プローブH-FluNoxを開発し、細胞内で起こるヘムの濃度変動を蛍光顕微鏡で可視化することに成功しました。これまでは遺伝子操作により導入する必要のあった細胞内のヘム検出を、化合物を細胞にかけるだけで検出できるようになりました。本論文中では、5-アミノレブリン酸の投与によるヘムの生合成誘導、NO(一酸化窒素)によるヘムタンパク質からのヘムリリース、薬物トランスポーターのヘム排出能等、様々な条件下におけるヘムの増減を明らかにすることに成功しました。掲載号の表紙にも採用されました。なお、プレスリリースが所属機関より出ていますので、こちらもどうぞ。
