A02:「菌種特異的に進化した金属特異的レセプターに対する新規創薬基盤の開発」
中川 一路(京都大学大学院 医学研究科)
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細菌感染症は、これまで天然物由来の抗生物質や部分合成された抗菌剤が長年使用されてきた。その効果は非常に大きく、細菌感染症は撲滅するのではないかと言われた時期もあった。ところが近年、病原体における薬剤耐性化や高病原化株の出現が問題となっている。特に、抗生物質については、その作用機序から特定の病原体にのみ作用する薬剤ではなく、菌種によって選択圧が異なるために、不適切な使用による耐性菌の蔓延が世界中で広がっている。また、新規抗菌剤の開発についても、シーズとなる天然物の枯渇やそれに伴う開発費用の増大により、2000年以降、新規のシーズはほとんど見つかってきていない。 そのため、既存の薬剤とは異なる作用機序で、耐性株が出現しにくい新規創薬のシーズ開発が望まれている。そこで本研究では、病原細菌の菌種に特異的に進化した遺伝子として、金属獲得系トランスポーター、金属排出系トランスポーター、およびその制御因子を特異的に阻害する薬剤候補を対象にし、新規創薬基盤を開発することを目的とする。

【関連する代表的論文】
A. Yamada, M, Hikichi, T. Nozawa, I. Nakagawa
“FBXO2/SCF ubiquitin ligase complex directs xenophagy through recognizing bacterial surface glycan”
EMBO Rep. 2021, e52584
DOI: 10.15252/embr.202152584
T. Nozawa, J. Iibushi, H. Toh, A. Minowa-Nozawa, K. Murase, C. Aikawa, I. Nakagawa
“Intracellular Group A Streptococcus Induces Golgi Fragmentation To Impair Host Defenses through Streptolysin O and NAD-Glycohydrolase”
mBio 2021, 12: e01974-20
DOI: 10.1128/mbio.01974-20
T. Nozawa, S. Sano, A. Minowa-Nozawa, H. Toh, S. Nakajima, K. Murase, C. Aikawa, I. Nakagawa
“TBC1D9 regulates TBK1 activation through Ca2+ signaling in selective autophagy”
Nature Commun. 2020, 11(1), 770
DOI:10.1038/s41467-020-14533-4
H. Toh, T. Nozawa, A. Minowa-Nozawa, M. Hikichi, S. Nakajima, C. Aikawa
“Group A Streptococcus modulates RAB1- and PIK3C3 complex-dependent autophagy”
Autophagy 2020, 16(2), 334–346
DOI: 10.1080/15548627.2019.1628539
