昨年度に引き続き、北海道ルスツにて夏の合宿を開催いたします。詳細については決まり次第にご連絡いたします。
【実施報告】(石森・北海道大学)
第2回「夏の合宿」は、昨年度に引き続き、ルスツリゾートホテル&コンベンションで開催され、昨年度同様、コロナウイルス感染防止対策のもとでの開催で、参加いただいた方にはまだまだ不自由な思いをしていただいた面もありましたが、今年度は特別講演の講師の先生方を含め、100名近い方々に対面でご参加いただきました。また、今回はオンラインでの視聴は実施しなかったものの、ご都合で参加いただけない方には事前に作成していただいた動画をお送りいただくことで、班員全員が参加していただく形をとることができました。
今回は、テーマとして「生命金属科学研究の次世代はどうなる、それに必要な技術は」ということで、初日の9月3日(土)は、B01班:生命金属動態の「測定解析」の班員を中心に、独自の方法論を組み合わせた連携研究報告が多く行われ、東北大・内田先生、横浜市大・明石先生、放医研・武田先生、筑波大・重田先生からは測定解析、方法論を軸とした研究成果が発表され、引き続き筑波大・新開先生、京都薬大・石原先生、京都大・藤田先生、九州大・西山先生、そして最後は京都大・中川先生と活発な連携研究の成果が報告されました。夕食後は「生命金属科学の現状と未来 その1」というセッションテーマの下、前半は大阪公立大・高野先生、石川県立大・小林先生、佐賀大・西田先生、名古屋大・井上先生と植物関連の研究発表が行われ、前半最後は明治大学の吉本光希先生から「植物体内Zn-Feイオンバランス維持における自己成分分解系オートファジーの重要性」という題目で特別講演をいただきました。休憩後の後半は薬学から医学関連の研究発表として、徳島文理大・藤代先生、東北大・有澤先生、名古屋大・長野先生、岐阜薬大・保住先生と続きましたが、活発な討論のため、夜の部が終了したのは午後10時をはるかに過ぎ、温泉入浴を諦める方もおられたようです。
翌4日(日)も引き続き「生命金属科学の現状と未来 その2」というセッションテーマで、細胞生物学からデータベースやインフォマティクス、さらには新たな解析技術といった幅広い研究発表が、東北大・天貝先生、群馬大・福中先生、東京大・藤澤先生、京都大・神戸先生、佐賀大・堀谷先生、都立大・伊藤先生と続き、前半最後は特別講演で金沢大の福間剛士先生より「液中原子間力顕微鏡による生命システムと金属腐食現象のナノスケール研究」で締めくくることになりました。休憩後の後半では、東北大・横山先生、広島大・兼松先生、名古屋大・菅野先生により新たな実験的、理論的アプローチに関する研究発表が行われ、最後はセッションテーマに戻って慶応大・古川先生から「『生命金属科学』的な研究交流の場をどのように維持していくのか?」ということで話題提供いただきました。そのまま総合討論「生命金属科学の現状と未来」としてつながって、若手、中堅、古手の研究者の思い描く将来の生命金属科学が語られ、午前の部が終了しました。午後は若手会企画として、京都大の田村先生と東京大の鈴木先生にお世話いただき、今回は博士研究員や大学院生を中心とした若手研究者によるグループワークが行われ、それぞれ、各グループに割り当てられたテーマについて熱く議論が交わされていました。
夕食後はポスターセッションで、今年度は60件近くのポスター発表を出していただきました。発表件数としては昨年度よりも10件も増えてはいないのですが、オンラインでのポスター発表が多かった去年に比べ、今回は会場の雰囲気が格段に盛り上がり、各ポスターの前では熱い議論が交わされていました。特に博士研究員や大学院生の方々が夜遅くまで熱心に議論している姿を見ると、将来彼らがどのような生命金属科学を展開してくれるのか、楽しみになります。
最終日の5日(月)もセッションテーマを「生命金属科学の現状と未来 その3」として、主に化学的なアプローチを中心に慶應大・川上先生、京都大・田村先生、東北大・松井先生、岐阜薬科大・平山先生からの研究発表が続き、前半最後は京都大・浜地先生による特別講演「分子夾雑化学から生体金属への貢献?」を拝聴して休憩となりました。休憩後は、大阪公立大・藤枝先生、立命館大・三原先生、岡山大・根本先生、東京大・鈴木先生と、化学から生物学的な研究に話は進み、最後はセッションテーマに沿って千葉大の小椋先生から「ISM-8開催から見えた生命金属分析の現状と課題」について発表いただき、生命金属科学の現状と未来についての第2弾の総合討論を行うことができました。最後はリーディングサイエンティストとしてご参加いただいた齋藤先生より今回の夏合宿全体にわたる講評をいただくとともに、今後の生命金属科学を担う研究者への力強いエールをいただきました。
今年度の夏合宿では、対面形式で昨年度の約3倍の研究者に参加いただいたおかげで、昨年以上に「生命金属科学」に対するさまざまな思いと期待が、より明確に共有できたように思います。最後になりましたが、わざわざ現地までお越しいただいた招待講演者及び参加者の方々には御礼申し上げます。昨年度に続き、今年度の「夏の合宿」での議論も領域関係者の研究の進展と「生命金属科学」の確立やその新たな展開に貢献できれば幸いです。

【ポスター賞報告】(田村・京都大)
P5: 大村 翼世
「難分解性色素を効率的に分解可能なシトクロムcの設計と創製」
P6: 村西 和佳
「コレラ菌へのヘム添加による抗菌薬Polymixin耐性の発現」
P15: 浪川 勇人
「アコヤガイ貝殻の金属酵素(nacrein)を用いた炭素固定化法」
P21: 天貝 佑太
「小胞体亜鉛制御とタンパク質品質管理」
P34: 垣内 亮
「ヘム駆動型生体分子修飾プローブによる組織イメージング」
P35: 坂本 貫太朗
「X線結晶構造解析法による可溶性FamilyⅡ無機ピロフォスファターゼの触媒活性及び構造ダイナミクス機構の解明」



