【開催報告(A03-4 鈴木)】
2022年5月21日~23日に東京大学農学部弥生講堂にて、「第1回生命金属科学シンポジウム」が開催されました。様々な学会や研究会に「生命金属」に関する分科会があるような状況で、生命金属科学の研究が主となる統一的な学会や集会がありませんでした。そこでまずは、シンポジウムからという城先生のご提案、企画により、今回が記念すべき第1回となりました。
シンポジウム初日は新学術領域「生命金属科学」の計画班員による進捗報告、研究計画の発表から始まりました。生命金属動態に関する「A01:維持」「A02:破綻」「A03:攪乱」「B01:測定解析」の4班から計15題の講演が行われました。
2日目からは、外部講演者の先生方をお招きして、ヘムや金属酵素といった分子から、微生物や植物といった生物個体に至るからさまざまなレベルを対象とし、放射光やNMRといった測定解析技術などを含めた多岐に渡る分野に関する講演が行われました。また、特別講演としては、大阪大学蛋白質研究所の栗栖源嗣先生をお招きして、フェレドキシンに関するこれまでの構造研究をお話いただきました。その後、午後にはポスターセッションが開催され、計21題のポスター発表が行われました。セッションの開始から終了まで、どのポスターの前にも途切れることなく常に多くの人が集まり、熱心に議論している様子が印象的でした。
最終日となった3日目には、亜鉛やセレンなどの元素を中心に、微生物から細胞レベル、さらに心循環、結石、神経変性などヒトの疾患に関連した講演が行われ、特に、特別講演としてお招きした名古屋大学環境医学研究所の山中宏二先生には、神経変性疾患である筋萎縮性側索硬化症の病態研究に関してお話いただきました。
今回のシンポジウムでは3日間に渡って、合計110名程度の参加者があり、質疑応答やポスターセッションでは、非常に活発に意見が交わされていました。生命科学の分野で、「金属」をキーワードに多くの様々な分野の人が集まり交流することで、新たな成果が続々と生まれそうだと感じるとともに、今後もこのシンポジウムが続いていくことで、「生命金属科学」が大きく発展すると確信しました。





